恩を忘れた人間に道は開けない

『致知』2016年9月号の中で、志ネットワーク「青年塾」代表の上甲氏と伊那食品工業社長の井上氏が「いい会社をつくる原点」というテーマで対談していますが、その中で「恩を忘れた人間に道は開けない」ということを、以下のように話されています。

上甲氏
やっぱり会社が有名になり、脚光を浴びてくると、心の中にある種の傲慢さが出てくる。人を見下したり部下をこき使うとかね。

人間はポジションが上がっていくと、知らず知らずのうちに態度が大きくなったり、言葉尻が無神経になったりしますからね。

逆境の時は誰でも謙虚になるんですよ。

しかし、順境の時が一番怖い。うまくいっている時こそ、気をつけなければなりません。

今日の成功は明日の失敗につながり、今日の名声は明日の悪声につがります。

井上氏
国会議員になると無料でグリーン車に乗れるんですよね。

最初はみんな申し訳ないと思って恐縮して乗っているんですが、そのうちどんどん慣れてきて、手違いでグリーン車が手配できていなかったりすると「何やってるんだ」ってなってしまう。

こうなっちゃいかんとつくづくと思いますね。

上甲氏
松下電器産業がまだ零細企業のころ、松下幸之助は社員が帰るときに、社員の背中に向かって手を合わせた。明日も来てくれよと祈って。そして、朝は一番に出社し、玄関で社員が来るのを待っておった。

松下政経塾の塾長室には松下幸之助が墨書した「天恩」という額が飾ってありました。

命をいただいてオギャーと生まれてきたことも、いまこうして生きていることも、ありとあらゆることが天の恩のおかげなんですね。

恩というのは道徳を教える言葉だと思っていたけど、実は違う。

まさに生きていく真理だと気づいたんです。

人として最も恥ずかしいのは恩知らずだと思います。恩知らずになったら、どんな才能があっても道は開けない。

恩を知り、そのことに感謝し、報いていく人が道を開いていくのだと思います。