他人と過去は変えられないが、自分と未来は変えられる
「他人と過去は変えられないが、自分と未来は変えられる」というカナダの精神科医エリック・バーンの有名な言葉があります。
自分が影響を及ぼすことができるのは自分だけで、自分を変えることで未来を変えることができることを意味しています。
この世の真理である因果律(原因と結果の法則)を説明した言葉ということもできます。
現在の自分がおかれている状況は、すべて自分が創り出したものであり、他人や環境のせいではありません。
もし現在の自分の状況がよくないとしても、それは決して他人や環境のせいではなく、すべて自分のせいです。
このことを本当に理解できると、生きていくのがとても楽になります。
なぜなら、現在の自分のよくない状況が他人や環境に原因があるとするのなら状況を変えることは難しいですが、自分に原因があるなら自分を変えることで状況を変えていくことができるからです。
たった今から、よき原因を創り出すことにより、よき結果を招くことができるのです。
では、よき原因とよくない原因とは、どのように区別すればよいのでしょうか。
シルバーバーチの霊訓の中で、シルバーバーチは「動機」が大切であると述べています。
人間には誰しも、心の中に良心というものを具えています。
そして、良心に背くようなことをするときは、良心の呵責を感じるようになっているのです。
誰でも、子どもの頃にいけないことをしようとすると心が「チクリ」と痛むという良心の呵責を感じたことがあると思います。
この良心の呵責を感じるような行為はよくない原因となり、よくない結果を招きます。
自分さえ良ければいいというような利己的な行為や道徳に反する行為などは、よくない状況(悪い結果)を招き、相応の償(つぐな)いをしなければならなくなります。
逆に、他人のため、社会のために行う利他(りた)的な行為は、よき状況(善き結果)を招きます。
かつて経営の神様といわれた松下電機産業(現・パナソニック)創業者の松下幸之助氏も、物事が上手(うま)くいった時にはいつも皆のおかげと考え、上手くいかなかった時はすべて自分に原因があると考えていたそうです。
他人のため、社会のためにという動機にもとづいた行為は、自然と周囲の支援が得られるようになっているから上手くいくのです。
そして、上手くいったときには皆のおかげと感謝するのです。
これを自分の力でできたのだなどと自惚(うぬぼ)れると、驕(おご)りが生じて、坂道を転げ落ちるように人生の転落が始まることになります。