主婦から80歳で起業した女性の話
Wさんは、77歳の時にご主人をなくしました。
10年ほど介護していたご主人が亡くなり、何もする気がなくなってしまいます。
ご主人をなくしたことで、人生の張り合いが無くなってしまい、生きる目的を失ってしまったのです。
気力を失い、毎日寝てばかりの生活を送っていました。
そんな生活を1年半ぐらい続けていたころ、孫から「寝てばかりではぼけてしまうから、何か勉強したら」と言われます。
孫と話すうちに、女学校では戦争でまともに勉強できなかったことなど、学校時代を懐かしく思い出しました。
そして、何か勉強してみようという気持ちになったのです。
では何を勉強しようかと考えました。
最終的には、住民票さえあれば受験できて、資格も取れる宅建を受験することにしました。
もともと住宅に関心があったことも理由の一つです。
専門学校に通い、人の3倍も4倍も勉強しました。
勉強や通学は楽しくて、大変だとは思いませんでした。
試験ではミスをしましたが、運よく合格することができたのです。
せっかく資格を取ったのだから、自立のために働こうと決めました。
まずは修業のためにどこかの不動産会社に就職しようと考えました。
しかし、履歴書を書く段になって気づきました。
80歳のおばあちゃんを雇ってくれる会社なんてないということを。
それなら自分で会社をつくるしかありません。
孫は賛成してくれましたが、ほかの家族、親戚には「その年になって、何をいまさら・・・」と大反対されました。
でもWさんはどうしても働いてみたかったのです。
22歳で結婚してから55年間専業主婦で、働いた経験がなかったからです。
起業してから2年間は1件も契約に至ることがなく、収入は0でした。
買主から仲介手数料を取らないというやり方が、業界の常識と違っていたため、業界の中で干されたような状態だったのです。
仲介手数料を無料にしたのは、儲けとかではなく社会への恩返しのためです。
それが分かってもらえたのか、徐々に事業は軌道に乗りはじめ、今では年商5億の売り上げとなりました。
Wさんは、自らの体験を踏まえて次のように述べています。
新しいことを始めるのに年齢は関係ありません。
自分のしたいことは、やってみるべきだと思います。
経験の積み重ねは武器になります。
若い時はがむしゃらに突進しますが、年を取ると慌てなくなります。
私は長いこと専業主婦でした。
主婦は待つ生活です。
その経験から仕事でもお客様がじっくり考えて決断するのを待ちます。
主婦の経験も役に立つんですと。
新しいことを始めるのに年齢は関係ないということは、ハンバーガーのマクドナルドを52歳で創業したアメリカのレイ・クロックも述べています。