ウガンダの少年兵の悲惨な体験
NPO法人テラ・ルネッサンスを創設した鬼丸昌也さんが2004年にウガンダで出会った元こども兵の話です。
ウガンダ北部では「神の抵抗軍」によって23年間で3万8千人ものこども兵が生み出されていたことから、鬼丸さんはその実態を調べに行きました。
鬼丸さんが直接話を聞いた元こども兵は12歳のときに「神の抵抗軍」に誘拐されて兵士にさせられました。
しかも、誘拐されてすぐに、自分の生まれ育った村を襲いに行かされたのです。
そうさせることで、こども達は帰る場所を失うため、脱走を防ぐのに役立つからです。
さらに彼は自分の家まで連れて行かれると、「神の抵抗軍」の兵士に目の前にいる女性を殺せと言われました。
彼は拒否しました。
彼の母親だったからです。
すると、その兵士は彼を銃でボコボコに殴った上でこう告げました。
「分かった。お前がこの女をそんなに大切にしているんだったら、代わりに腕を切り落とすんだ。
もしそれができなければ、おまえもその女も殺すぞ」と。
結局、彼はその兵士の言うとおりにせざるを得ませんでした。
この話にはまだ続きがあります。
彼が政府軍との交戦で負傷し運ばれた救護施設に、偶然彼の母親がいたのです。
彼はその時のことを次のように話してくれました。
「お母さんに会えて嬉しかった。
お母さんは僕がどんな目に遭ったかを全部聞いてくれたんだ。
でも、よくわかるのは、お母さんはもう僕のことを愛してくれないんだってこと。
だって、僕はあんな酷(ひど)いことをしてしまったんだから・・・」
鬼丸さんは、彼の顔をじっと見つめていましたけど、まるで蝋人形みたいだったそうです。
(参考;『致知』8月号)
世界の各地で紛争が続いていて、このような悲劇が繰り返されているのです。
それに引き換え、日本はなんて平和なことでしょう。
この平和に日本に生まれてきたことに有難いと感謝するべきだと思います。