中華料理の神様とうたわれた陳建民氏が創業した四川飯店の二代目陳建一氏が、料理に対する考えを次のように語っています。

いくらレシピ通りに作ったからといって、それだけで親父の味になるわけじゃない。

じゃあ、どうすればうまい料理がつくれるのか。

うちの親父が大事にしていたのは、とにかく目の前の料理を一所懸命にやる、それだけだった。

「自分がおいしいと思うもの、気持ちを込めてつくりなさい。そうすればお客さんも必ずおいしいと思う。」って。

でもその「気持ちを込めて」っていうのは口で言うのは簡単だけど、実際に毎日やるのは本当に大変。

それをどこまで本気でできるか。

だって人間なんだから、時に気持ちが乗らない日だって当然あるんだからさ。

親父はよく若い料理人に「あなた、恋人作れ、いま」って言ってたけど、要は自分にとって大事な人に料理を作るつもりで毎回やりなさいってこと。

料理は技術的なことも大事だけど、一番大事なのは心の問題なんだよね。

うちの親父が僕のためによく書いてくれた言葉があって、中国語で「ダンサンカンウイ」と言って、漢字で書くと「低賞感微」。

どんな意味かというと、「低」は威張ってはいけない、「賞」は人を褒めなさい、「感」は感謝しなさい、「微」は微笑みなさい

要は人間というのは調子に乗ると高飛車になってしまう生き物だから、いつも腰を低くして人と人との和を尊重しなさい、ということを言っているの。

昔、ある人に言われたのが、料理の技術は毎日の積み重ねだから頑張りなさいと。

ただし、技術だけではダメで、その技術を持った上でどれだけお客さんのことを思えるか、その気持ちのほうがもっと大事だよって。

(引用:『致知』2017年4月号「繁盛する店はどこが違うのか」より)

料理人である前に、まず人間力を養うことが必要ということです。

人間力を高めていくことが、結果的によい料理人になるということです。