高級チョコレートメーカー・ゴディバ ジャパンの社長ジェローム・シュシャン氏は、弓道錬士五段の資格をもち、国際弓道連盟の理事も務められています。

『致知』という雑誌の中で、弓道の「正射必中」という言葉を用いて、プロセスの大切さを述べています。

正射必中」は、正しく射られた矢は必ず的に当たるという意味です。

例えば、矢を放つ前に「これ当たるかな」「いつ手を放そうかな」と思っていると、たいてい失敗するですよ。

ところが、そういうことに気を取られず、自分が練習してきたことを淡々と一所懸命やれば必ず当たるんです。

だから、弓道では的に当たる結果よりも、矢を放ち終わるまでのプロセスを大切にしています。

プロセスを正しく行えば、結果は必ずついてくると。

ビジネスも同じで、売り上げ目標やノルマがあるじゃないですか。

それだけを考えると、気を取られてうまくいかない。

私はビジネスの秘訣とは「当てる」ではなくて「当たる」ところにあると考えているんです。

ビジネスにおける「的」はお客様のこと。

お客様という的に「当てる」ことを狙わずに「当たる」というヒット現象を起こすんです。

そのためには、お客様の気持ちと会社の行動が一体にならなくてはなりません。

社員一人ひとりが我を捨て、「純粋な心」でお客様と向き合う。

お客様の気持ちを素直に聞き、よいものをつくるために無心で仕事に向き合う。

そうしてお客様と心が一体になった時に、本当のヒットが生まれるんです。

また、成功する人とそうじゃない人との差について聞かれて、次のように述べています。

それは、ビジネスマンかサラリーマンかの違いじゃないでしょうか。

サラリーマンは上の人から言われたことしかやらない。

だから、自分で考えない。

一方、ビジネスマンは止まらないでアクションする。諦めないで、ずっと継続する。

弓道で言えば「一射一射」という考えですね。

終わった射や失敗した射は忘れて、次の射、次の射に切り替えていく。

一日一日の積み重ねが大事ということです。

ビジネスではよく来週どうする、来月どうする、あるいはあの時はこうだったと、未来や過去のことを考える場合が多いんですけど、常にいま、いまに集中して、余計なことは考えない。

そしてアクションを起こす。

弓道の場合は、的の前に立ったら上手でも下手でもやっぱり矢を放たなきゃいけない。

やるしかないんです。

まずやってみて、そこから学んで次の射が生まれる。

その繰り返しですね。

(引用;人間学を学ぶ『致知』2017年1月号より)