1959年に早稲田大学を卒業し、シェル石油(現・昭和シェル石油)に入社して以来、日本コカ・コーラやジョンソン・エンド・ジョンソン、フィリップスなど、日米英欄の4か国、6社のグローバル・エクセレント・カンパニーに勤め、3社で社長職、1社で副社長職を務めた新将命(あたらし まさみ)さんは、これまで3度の大きな逆境に直面しました。

20代後半のシェル石油時代には課長から平社員に落とされ、30代後半の日本コカ・コーラ時代には東京本社の部長から大阪支店の次長に格下げになり、50代でアメリカ系企業の社長をしていた時には総本社のトップと意見が対立し、2か月後に首になりました。

2回の降格と1回の解雇を経験したことになります。

そういう逆境に直面した時、1部の人は親身になって手を差しのべてくれますが、冷ややかな人が大半でした。

「降格してきっと落ちこぼれるだろう。仕事に身が入らないだろう」という意地の悪い期待感で見ていました。

しかし、それでは相手の思うツボになってしまうので、新さんは逆境というのはピンチである同時に、リカバーするチャンスでもあると心を切り替え、降格する前よりもニコニコと元気よく、一所懸命に仕事に打ち込みました。

すると、周囲の目が軽蔑から徐々に好奇心へと変わり、最終的には尊敬の眼差しになったそうです。

この経験を踏まえて、新さんは次のように述べています。

逆境の時でも自分の弱い心に打ち克ち、諦めたり手抜きをしたりせず、目の前の仕事をコツコツとやり続けることが、人生や仕事、経営を成功に導く唯一の道ではないかと思います

成功する人と失敗する人の違い

新さんがこれまで数多くの経営者を見てきて感じるのは、「成功する人は謙虚、失敗する人は傲慢である」ということだそうです。

リーダーにとって自信は必要不可欠ですが、ややもすると自信は過信に、過信は慢心に、慢心は傲慢に変わり、最終的には破滅に至ってしまいます

傲慢な人は自分の考えはすべて正しいと思い、苦言や諫言(かんげん)を呈する人が疎ましくなり、そういう人を遠ざけるようになります。

ある日、気づいたら周囲にはイエスマン、追従者しかいなくなってしまいます。

そういう人は自分自身と会社を滅ぼすのです。

反対に、謙虚な人は目まぐるしく変化する時代の中で、その流れに取り残されず、勝ち残っていくために、自ら変化成長を遂げようと自己投資を惜しみません。

吉川英治の「我以外皆我師」という格言の如く、あらゆる人や事象から学ぼうとします。

どんな人であっても、その人のよい点を見て学ぼうとする謙虚さが大事であると思います。

(参照:『致知』2017年6月号

成功する人と失敗する人の違いを読んで、頭に浮かんだのが「実るほど頭を垂れる稲穂かな」という先人の教えです。

秋になり収穫の時期を迎えると、田んぼの稲は豊かな実の重みで頭が垂れたようになります。

それを見て先人は、人も同じように実るほど頭を低くしなければならないと学んだのです。