東京・大田区にある八百屋さんが「こども食堂」をはじめたのは、ある出来事がきっかけでした。

近所に、母親が病気のため給食以外バナナ1本で生活している小学1年生がいると知ったことでした。

そのことに衝撃を受けた店長の近藤さんは店内にある厨房を使い食事を提供しようと模索しました。

しかし、誰が料理を作り、誰が運営していくのかなど、企画がなかなか固まらずに約1年半が経過していくうちに、その子は児童養護施設に入ってしまいました。

近藤さんは、すぐに企画を形にできなかった悔しさと他にもいるであろう孤食の子どものために何かしたいという思いが募り、子どもが1人でも安心して来られる食堂というコンセプトで「こども食堂」を開始しました。

当初は1日に何人分の食事を作ればいいのか目途が立たずに大量に作ってしまい、あまった料理をみんなで持ち帰る日々が続きました。

3年目にようやく、毎週木曜日に定期的に開くことができ、毎回約30名が来るようになりました。

始めはしゃべることもままならなかった小学5年生の自閉症の子が「こども食堂」に通い、学校や自宅以外の社会とのつながりに慣れたことで、中学生になる頃には相手の顔を見て話せ、自ら季節ごとのイベントを企画するようにもなったそうです。

親子三世代や地域で子育てをする風潮が失われたいま、家や学校以外の居場所として「こども食堂」を後世に残したい。

何かあったらここにくればいい」、「何もなくてもここにくればいい」。

そんな安心感を子どもに提供したいと近藤さんは考えているそうです。

(参照:『致知』2017年6月号

世の為、人の為に何かできないか、何かしようと思う人は、たくさんいると思います。

でも、近藤さんのように実際に行動する人は少ないのではないでしょうか。

思うだけ、考えるだけでは何も変わらないということを改めて学びました。