北川八郎さんの「繁栄の法則」に出てくる建築会社の社長さんの話です。

その社長は、いつも儲けることを優先してきました。

日本建築が得意だったので、お客から洋式の家の注文を受けた時でも、「洋風よりもこれからは日本建築ですよ」と言って、すべて日本建築にして、材木も一番安いところで仕入れて、それを高く売っていました。

建築会社ですから、例えば水道屋さんなど、いろいろなところに発注して使います。

その時にお客から仮に100万円で請け負ったら、水道屋さんには90万円か80万円で仕事をさせていました。

何十年もそういう方法でやってきましたが、建築会社は決して大きくなりませんでした。

一生懸命ごまかして、一生懸命うそを言って、取り繕ってやっているけれど儲からない。

いつもいつも仕事に追われて苦労していました。

それで、なぜだろうと思っていた時に北川さんの話を聞きに行きました。

そして、北川さんの「与えなさい、少し損して生きなさい」という言葉を聞いて、「ああ、そうだ。もう、ごまかして儲けるのは嫌になった。家もできたし、食っていける。今のままだと自分で自分が嫌になってしまうから、これからは少し心を入れ替えよう」と思いました。

それから、その社長は100万円の水道工事の仕事があるときは、水道屋さんに105万円で依頼するようになりました。

自分が少し損をすることをやり始めたのです。

ガラス屋さんや建具屋さんに対しても少し与えることをやり始めました。

家の見積りで材木の仕入れ予想時の価格が200万だったとします。

実際に家を建てるのはその数か月先です。

それで、その時の市場価格が180万円ぐらいになったとしたら20万円を返しました。

あらゆること、あらゆる場面できちんと人に与えるようにしました。

そういうふうにしていくと、1,000万円の建物が、1,300万円ぐらいの価値になります。

そのことが少しづつ口コミで広がっていき、注文がたくさん入り始め、繁盛し始めたのです。

建てた家に雨漏りしたり、不都合が生じたら1年間はとにかく、いつでも修理に行きました。

そしてたいていの場合は代金を取りませんでした。

持ち主の使い方が明らかに悪かった時以外は、4,5年経ってもお金を取らずにアフターケアを行いました。

そうした商売をしていったら、ひっきりなしに注文が入るようになり、あったとい間にお金持ちになりました。

それまで、儲けようとしてちょっとずつごまかして生きてきたら、注文が少なく悪評もたちました。

仕事のやり方を変えたとたん、ひっきりなしに注文が入るようになったのです。

そして、ガラス屋さんや水道屋さんなどの請負業者の間でも、同じ100万円の仕事をするなら、あそこは105万円支払ってくれるという評判が立ちました。

どこかで家を建て替えようという話がでると、「あそこの建築会社がいいですよ」と紹介してくれるようになりました。

その建築会社は宣伝しなくても自分が使っている人たちが口コミで紹介してくれるようになり、注文がどんどん入るようになったのです。

その社長さんは「今まで儲けようとしていたら儲からず、儲け心を捨てて正直にやり始めたら、儲け始めた」といいます。

(参照:繁栄の法則

この社長さんは、自分だけが儲ければいいという利己の心から、他人のためにという利他の心に変わることにより、その結果として繁栄を手に入れとということです。

昔から「損して得取れ」と言われますが、これも似たようなことだと思います。

ただし、初めから得をするために損をするというような不純な動機では、得にはつながらないと思います。

やはり、純粋に他人のためにという動機が、善き結果をもたらすのだと思います。