50歳でプロの指揮者に転身した根本昌明さんの生き様

一介の英語教師から身を起こして、50歳にしてプロの音楽家に転身した異色の指揮者根本昌明さんの命がけの演奏は、聴衆の心だけではなく、オーケストラや合唱団のメンバーの魂にも火をつけるだけの迫力があると言われています。

そんな根本さんの生き様が『致知』2017年2月号に紹介されていて、とても勉強になりましたので、抜粋を紹介します。

ニール・ドナルド・ウォルシュの『神との対話』と出会えたことが、根本さんの運命を変えるきっかけとなったそうです。

以下、抜粋です。

そこには宇宙には法則があって、願ったことは叶うと書かれていました。

それが私には大変な驚きで、すぐにナポレオン・ヒルの『思考は現実化する』など自己啓発本を十数冊と読んでみましたが、どれも共通して「願いは実現するのが宇宙の法則である」と書いたある。

これは間違いない、そう確信したのが、そのどん底状態の時でした。

では、私の願いとは何かと考えると、ベートーヴェンが「第九」に込めたように、私も音楽でもって全世界の人たちを幸せにしたいと思いました。

そのためには最高の感動を誇る演奏をすることだと思い定め、50歳にして教師を辞めて、音楽の道一本に絞ることを決意したのです。

親友も親兄弟、そして家族もこぞって反対しました。

音楽学校を出ていない人間が音楽で世界を平和になんて言っても、そもそもどうやって稼ぐんだって。

それでも、私の信念は揺らぎませんでした。

親友や家族の反対を押し切って、私は音楽家になったのです。

ただ、正直言うとそれから5年くらいはこれといった音楽活動は何もできませんでした。

いくら演奏会を開こうにも一人ではどうしようもない。

会場を借りることはできても、どうやって宣伝すればよいかもわからなない。

生きるために清掃員をしながら、何としてでも、との思いで音楽の道を探していました。

心の中では、「意志あるところに道は開ける」、という言葉を何度も自分に言い聞かせていましたが、それはもう壮絶などん底で、生活も苦しく、一度は精神病院に入院したこともあります。

その時に思ったのが、やはり自分のことを理解してくれる人がいない限り、活動を続けるのは無理だろうと。

ところが、その理解者が現れたんですよ。

それも彼女は30年前の教え子でした。

それがいまの奥さんなのですが、たまたま出席した同窓会で話をしたのがきっかけで、彼女が私のことを応援しなくちゃいけないと思ってくれたようなんですね。

一人から二人になって、再び音楽活動を始めたものの、ダイレクトメール500通を送ってもほとんどお客さんが集まらず、演奏会は赤字続き。

でも、彼女は赤字だからやめようということは一回も言わなかったんです。

いい演奏会をしようとすれば、プロの演奏家に支払うギャラや会場費など負担はすべて主催者が持つので、二人でもって清掃員などをしながらなんとか続けていました。

平成22年7月に東京オペラシティで東京フィルハーモニー交響楽団と二期会合唱団を率いた「第九」の演奏会が1つのターニングポイントになりました。

というのも、楽団や合唱団などに支払うギャラや会場費など諸々含めると合計1,350万円になるのに対して、所持金は350万円しかありませんでした。

理性に頼ったら負ける、絶対に成功するという直感だけを信じて準備を進めましたが、公園開催1か月前になってもチケットは100枚も売れてなかったんですよ。

ところが、その少し前に、ある人気番組の収録があって、夫婦で清掃員をしながら赤字覚悟で演奏会を開こうとしている音楽バカがいると紹介されたことで、その翌日から電話が殺到して、いっぺんに1,000枚のチケットが売れました。

演奏自体も大変な評価をいただいて、フルトヴェングラー協会からは、「21世紀の新しい『第九』としてCD化してほしい」とまで言っていただきました。

(引用;『致知』2017年2月号より)

天は乗り越えられない試練は与えないこと。つまり、天から与えられた試練は必ず乗り越えられること。

そして、正しい動機(音楽でもって全世界の人たちを幸せにしたい)に基づく行動は必ず成就すること。

このようなことを、根本さんの生き様から改めて学びました。