相田みつをさんにはお兄さんが二人いて、どちらも成績優秀でした。

本来なら二人のお兄さんが進学して然るべきでしたが、家が貧しかったため進学を諦めて働きました。

そのおかげで相田みつをさんは、当時1割ほどの進学率だった旧制中学に進学できました。

相田みつをさんはお兄さんたちの恩に報いるためにも一所懸命頑張り、学業成績もよく、剣道大会で優勝するなど、文武両道でした。

目標だった陸軍士官学校への入学は間違いないと言われていました。

ところが、4年生の時に軍事教練の科目で落第してしまいます。

4年生の時に来た新しい先生と相性が悪く、いじめられるようになってしまうのです。

当時、軍事教練不合格者は共産党員だと見られていました。

相田みつをさんは問題学生という烙印を押されて、進学できなくなってしまったのです。

そういう時に、相談に乗ってくれるはずのお兄さんが二人とも相次いで戦死しました。

これが、相田みつをさんにとっての人生最大の逆境だそうです。

この時の体験をベースに書いたと思われるのが、「肥料」という作品です。

あのときの あの苦しみも あのときの あの悲しみも みんな 肥料になったんだなあ じぶんが自分に なるための

この作品は、俳優・高倉健さんも好きで、自分のノートに書き写していたそうです。

(参考:『致知』2016年5月号)

「肥料」という作品は、「艱難(かんなん)汝(なんじ)を玉にす」という言葉を思い起こさせてくれます。

逆境こそが私たちを磨き、人間としての成長を促してくれるのです。

そして、後で振り返った時に逆境に感謝できるようになれば、一人前の自分になったということです。