ラッキーピエロの王社長の生き方

人口約27万人の北海道函館で、年間2百万人を超える人々が全国各地から押し寄せるハンバーガーチェーン・ラッキーピエロの創業者王一郎氏が『致知』という雑誌のインタビューで、経営、人生の基本について語っている部分があります。

私の人生、経営者といての根を養ってくれたのは、33歳のときに参加した「商業界」の経営セミナーだと思います。

それまでの私は、商人の家に生まれ、毎日商売の話ばかり聞かされて育ちました。

それが経営セミナーに参加して、「会社はスタッフとともに栄えるものである」、「経営には技術が必要だが、心もなければならない」などの教えに触れ、「経営ってこんなに深いものだったのか」と目を開かされたんです。

何のために商売をやるの?

それは、お客さまのため、地域のため、日本や世界の人たちのため、地球環境のためでしょうと。

商業界で学ぶ中で私自身の意識が少しずつ変わっていったように思いますね。

それで、これまで宗教や哲学などあらゆる分野の本を熱心に読んできましたが、私は特に東洋哲学に惹かれまして、佐藤一斎の『言志四録(げんししろく)』などは、事あるごとに線を引き、読み直してきました。

『大学』に「まことに日に新(あら)たに、日々に新たに、また日に新たなり」という言葉がありますがこれはまさに私の努力の源ですよ。

やっぱり、同じ日は一日もないですし、日々小さな努力を重ねて、進化していかなければいけない。

だから、何事も積極的に捉えて情熱をもって挑戦していくんだと。

それから、『言志四録』の「天(てん)何の故(ゆえ)にか我が身を生み出し、我れをして果たして何の用にか供せしむる。我れ既に天の物なれば、必ず天の役あり。天の役供せずんば、天の咎(とが)必ず至らむ」という言葉にも感銘を受けました。

なぜ私たちはこの世に生まれ落ちたの?なぜ働くの?

それは儲けるとか、他人からよい評価を受けようというのではなくて、天から与えられた使命に仕えることでしょうと。

私は今年で74歳になりますが、生まれ落ちた使命が何かあるとしたら、この函館のため、地域の人々のために尽くすことだと思ってきました。

そのためには、自分を磨く努力を怠らず、本質を見誤らない経営を続けていく必要があります。

それで、私はその本質とは「愛」だと思うんですね。

やっぱり、お客様や社員への思い、地域への取り組みも、愛のフィルターを通さなければ傲慢(ごうまん)になってしまったり、どこかで価値観が色あせてしまうものだと思うんですよ。

だから、その愛をもって何事にも取り組んでいく。

それが私の経営、人生の根本です。

(引用:『致知』2017年2月号より)