漫画雑誌モーニングに難病ギランバレー症候群の闘病生活を綴った「ふんばれ、がんばれ、ギランバレー!」を掲載した漫画家のたむらあやこさん。

たむらさんには、忘れられない出会いがあります。

それは、たむらさんがまだギランバレー症候群で闘病生活を送っていた頃のことでした。

競馬の騎手だったTさんが落馬事故により脳障害を負い、たむらさんと同じ病院に入院していました。

家族や友人の顔もわからない状態でしたが、Tさんは病棟に飾られていたたむらさんの馬の絵を毎日ずーっと見ていました。

たむらさんはTさんに馬の絵をプレンゼントすることを約束し、いまにも走り出そうな若い馬の絵を3日間かけて描きました。

そして、完成した絵を渡そうと病室を訪れた時、ベッドから起きることができず表情もはっきりしていなかったTさんが明らかにうれしそうな表情をして自力で起き上がりました。

そして、たむらさんに「ありがとう」とはっきりお礼を言ったのです。

このTさんとの出会いは、それまで自分のために絵や漫画を描くことしか考えていなかったたむらさんの姿勢を大きく変えました。

誰かの役に立てることの感動とともに、絵には大きな力があることを初めてたむらさんは学んだのです。

たむらさんは人のためになるような絵が描ける人間になりたいと心からそう思いました。

(参考;『致知』9月号)