失敗にどう向き合うか
裕福で有能な起業家がいるとします。
一代で富を築き、豪華な家に住み、子どもは私立の一流校に通っています。
家族全員が健康で、幸せで何も言うことがありません。
さて、この起業家が思いもよらない経済情勢の変化で、一夜にして破産したとします。
家をはじめ、不動産はすべて失ってしまいました。
残されたのは、家族だけです。
こうした事態に陥った時に、2つのパターンが考えられます。
1つは、もうダメだと絶望してしまうパターンです。
「もうダメだ。何もかも失ってしまった。職安で何か仕事を探そう。子供には今の学校はやめてもらい、公営住宅に住むことにしよう」
このように観念することによって、万事(ばんじ)休(きゅう)してしまうのです。
もう1つのパターンは、これとは正反対のパターンです。
起業家は、毅然とした態度で家族にこのように語ります。
「気を落とすんじゃないぞ。破産したと言っても、まだ我が家にはかけがいのない財産が残っているじゃないか。私たち家族だ。みんな元気だし、笑うことだってできるじゃないか。こんな貴重な財産はないぞ。
そのうえ、私には昨日までと少しも変わらない才能がある。体力もある。今度の失敗で大いに反省させられる事はあったが、私は昨日までは成功していたんだ。
そして、今度の失敗で貴重な体験と教訓を身に付けることができたんだ。うまくいかないはずがないじゃないか。私は1からやり直すぞ。前よりずっと大きな成功を手にして見せる」
同じ才能の持ち主が、前者の態度を取ることによって、みじめなほど小さな人間になってしまうのに対して、後者の態度を取ることによって、更に一段と大きな人間へと成長していくのです。
つまり、失敗に直面した時に、失敗を糧(かて)にして新たに挑戦することができるかどうかが大切なのです。
アメリカの有名な発明家トーマス・エジソンは、電球を発明するまでに数多くの失敗をしましたが、「私は失敗したことがない。ただ、1万通りの、うまく行かない方法を見つけただけだ。」という有名な言葉を残しています。
松下電器産業(現パナソニック)創業者の松下幸之助さんは、 「成功とは成功するまでやり続けること」 という言葉を残しています。
失敗というものは、本人が認めた時に失敗になるのです。
本人が認めない限り、失敗などというものは存在しないのです。