晴れてよし 曇りてもよし 富士の山
「晴れてよし 曇りてもよし 富士の山」
この句は、幕末の官僚であり、剣の達人としても知られる山岡鉄舟が詠んだ俳句です。
この俳句には続きがあって、『晴れてよし 曇りてもよし 富士の山 もとの姿は 変わらざりけり』となります。
人は富士山を見て、晴れた時には美しいといい、曇っている時にはそうでもないといいますが、それは見ている人が勝手にそう思うのであり、富士山は晴れた時でも曇った時でも同じ変わらない姿をしています。
美しいのもそうでないのも、それは富士山ではなく、それを見た人の心の在り方です。
世の中の多くのことも、心の在り方によって良くも見えれば、悪くも見えるといえます。
コップの中に水が半分残っているときに、まだ半分もあると思うのと、もう半分しかないと思うのも同じことです。
靴を販売する商人が砂漠に行き、靴を履いている人が1人もいない状況を見て、靴の販売先がたくさんあると思うのか、靴を履く人がいないのだから靴なんか売れるはずがないと思うのも同じことです。
私の尊敬する中村天風師もこの俳句を愛用していましたが、心の在り方を積極的(前向き)にすることが生きていく上では、とても大切であることを説いています。
『晴れてよし 曇りてもよし 富士の山 もとの姿は 変わらざりけり』