新幹線カリスマ販売員 茂木さんの原点

かつて山形新幹線の社内販売員として売上平均5倍以上という突出した実績を上げていた茂木久美子さんという方の原点ともいえるちょっと良いエピソードが掲載されていますので、紹介します。

その日は親戚の子供たちがいっぱい集まっていて、「駄菓子屋さんに行くぞ」ってことになってみんなで出かけたんです。

十人くらいはいたと思うのですが、私が一番ちっちゃくて、一番後ろからついていきました。

みんが次々と当てくじをやったりとか、スーパーボールを買ったりしていくんですが、私は一人で買い物に行ったことがなくて、ずっともじもじしてたんですね。

そうこうしているうちにも、みんなの勢いがすごくて、気づいたら私一人になっていました。

駄菓子屋の婆ちゃんが心配してくれて、「何が欲しいの?」って聞いてくれても、うまく答えられない。

そうしたら、婆ちゃんが飴やチョコを見繕ってくれて、袋に入れてくれたんですよ。

お金を渡した次の瞬間、私は一目散に逃げていった。

早くみんなに追いつきたくて、とにかく走って逃げた。

そうしたら、婆ちゃんが後ろからすごい勢いで走ってくる。

「ちょっと待って、おつり、おつり」って言いながら。

追いついてきた婆ちゃんが、落とさないようにと小銭をちり紙に包んで持たせてくれたんですけど、私の気持ちをすごく汲んでくれたのではないかと思うんですよ。

この子はこれが初めてのおつかいかもしれないって。

私、一所懸命お金を握りしめていたから、たぶんお金がすごく温まっていたと思うんです。

そのことにきっと婆ちゃんは気づいてくれた。

単なるお金としてではなく、その温度を感じてくれたのではないかなと。

そのことに婆ちゃんが気づいてくれたことが、私にはとてもうれしくて、こうして話し始めるといまも涙が出てくる…。

それくらいうれしかった。

別にその時は接客の仕事に就きたいとか全く考えていないわけですけど、婆ちゃんみたいに人を喜ばせることができる人になりたいなって、思うようになっていたんですね、きっと。

(引用:『致知』2017年2月号インタビュー「第一線で活躍する女性」より)