愛情の力

こんな話をご存知でしょうか?

ヒトラー政権下のドイツにおける教育実験の話です。

医学、遺伝学、育児学、その他ありとあらゆる面で完璧な環境のもとで、優秀な子供を育ててみようという実験が行われました。

性格的に父親、母親として理想的と診断された健康な男女を集めて、理想的な自然環境のもとで結婚生活を送らせました。

やがて子供ができると育児専門家のもとに預けられ、栄養、運動、情操教育に細心の注意を払いながら育てられたのです。

しかし、この実験は失敗に終わりました。

予想とは反対に鈍感で元気のない、しかも知能的に意外と低い子が多過ぎたのです。

その後、その原因調査が行われた結果、きわめて興味深い結論が出されました。

もうお分かりだともいますが、その子どもたちには受胎、出生、育児の各段階において最も大切な「愛情」という栄養が欠けていたのです。

科学の粋(すい)を集めて行われた育児も、親の愛情を補うことはできなかったということです。

もう一つ、欧米では園芸の腕のことを「緑の指」というそうです。

どうしてそう呼ぶようになったのかというと、それが園芸家の植物に対する愛情と密接な関係があるからです。

つまり、同じ花を栽培するにしても、我が子を育てるように愛情をこめて手を加える人の指は緑色を帯びてくるというのです。

このように育てられた花は生き生きとして、生け花にしても持ちが良いのです。

反対に商売本位に量産することしか考えない人が栽培した花は活きが悪くすぐしおれてしまいます。

この事実はとりもなおさず、花にも愛情を感知する感受性が備わっていることを示すもので、同時にまた、生命の発育にとって愛情というものがいかに大切であるかを示しているとも言えます。

飼い犬や飼い猫に愛情が伝わることは、誰でも知っていますよね。

こうした素晴らしい偉力を持つ愛が、人に通用しないはずがありません。

困っている人、気の毒な人のところへ行って、優しい言葉でその人を助けてあげることです。

身内の人で冷たく当たっている人はいないでしょうか。

奥さんにつらく当たってはいませんか。

姑(しゅうと)にいじわるをしていませんか。

もし、心当たりがあれば、明日からといわず、今この時点から心を入れ替えて、理屈も打算も抜きにして、ひたすら善意の心でやさしくしてあげることです。

誰にだって良い面があるはずです。

悪い面には目をつむって、ひたすらに良い面を見て、良い人だ良い人だと思ってあげることです。

そうした人を美化する想念はかなならず自分のもとに還ってきます。

そして、いつしか無性に楽しくなってくるのです。

生きていることが楽しくなってくるのです。

何故なら、真に生きがいを感じ始めたからです。