天に唾(つば)するとは
「天に唾(つば)する」という言葉があります。
この言葉は、因果応報を意味しています。
すなわち、天に向かって唾を吐いたらどうなるでしょうか?
唾は自分の顔に向かって落ちてきます。
このように自分の言動は、必ず自分に還(かえ)ってくるということを意味しています。
善因善果、悪因悪果といいますが、善きことをすれば善き結果が、悪いことをすれば悪い結果が還ってくるのです。
他人に対する悪意、怒り、嫉妬、軽蔑(けいべつ)心などの悪感情も、結局は自分に還ってきます。
他人に対する愛情、善意も、必ず自分に還ってきます。
愛情や善意を出し惜しみ、怒りや嫉妬といった悪感情をむきだしにする人は、悪感情をみずから招いていることになり、それが健康あるいは精神面に計り知れぬ害悪を及ぼしていることを知るべきです。
体調を崩すだけならいいですが、ひどい時には死に至ることもあります。
日常生活の災いのほとんどが、こうした自分が出した悪感情が還ってくることによって起きていることを知る必要があります。
悪意、憎悪、嫉妬、怒りなどは、ただ還ってくるのではありません。
跳ね返る時に勢いを増して還ってくるから恐ろしいのです。
もし自分がそういう悪意の対象にされた場合はどうすればいいのでしょうか?
成り行きに任せておけば、自分自身のストレスが溜(た)まるばかりでなく、自分が跳ね返す悪意で相手を傷つけてしまいます。
自業自得だという考え方もできますが、それはあまり褒められた考えではありません。
悪意には善意で、憎しみには愛で返すのが最高の心がけです。
そんなわけにはいかない奴もいるよと言いたい人もいると思います。
確かに愛せない人、好意を向けたくない人がいるのも事実です。
しかし、そう思っている限り、相手と同じ次元から脱していないことになるのです。
すなわち、自分もその嫌な相手と同じレベルだということになります。
憎い相手を愛することは、確かに難しいです。
「言うは易(やす)く、行うは難(かた)し」といわれるように言うことは簡単ですが、実践することは難しいのは百も承知しています。
しかし、その難しいことを何とか実践しようと努力するところに、魂の成長があるのです。
憎い相手も何か良いものを持っているはずです。
そのよい面を認めて慈しみの心を向けてあげようではありませんか。