反グローバリズムの中心にあるもの
『致知』2017年3月号で、上智大学名誉教授の渡部昇一さんと元駐ウクライナ大使の馬淵睦夫さんが対談していますが、その中で、反グローバリズムの中心には反ユダヤ思想があることを述べています。
こういう視点は、テレビなどの報道では聞くことが出来ないので、とても勉強になりました。
以下、対談の抜粋です。
トランプ大統領誕生の背景には近年のグローバリズムに抗(あがら)うナショナリズムへの回帰といった見方が一般にされています。
しかし、私はその反動の中心にアンチ・セミティズム(反ユダヤ主義)があることを見失ってはいけないと思うんです。
極端なグローバル化を支えたのは、ユダヤ思想だということですね。
反グローバリズムという言葉は差し障りのない表現で、その実は反ユダヤ思想です。
グローバル思想というのはすなわちユダヤ思想のことなのですが、アメリカではこのことを決して口にできない。
わかりやすい例でいえばクリスマスです。
アメリカではいまクリスマスだけを祝うことが出来ません。
ハスカー(クリスマスとほぼ同時期に行われるユダヤ教の年中行事)も一緒に祝います。
クリスマスも満足に祝えないのですから、純粋なキリスト教徒たちの不満は、そりゃあ鬱積(うっせき)していますよ。
私もある時、アメリカでクリスマスカードを買おうとしたら、年末年始の挨拶にも使えるよう「シーズンズ・グリーティングズ」と書いてあるんです。
ユダヤ人に配慮したからだと後で知って驚いたという記憶があります。
アメリカの保守の論客パット・ブキャナン氏は「よき伝統的なアメリカ社会が崩壊した」という言い方をしています。
表向きの意味はキリスト教の倫理観、道徳観の退廃ですが、裏を返せばユダヤ人が支配するユダヤ的な社会になってしまったという嘆きなんですね。
戦前、ヒトラーが出る前まではドイツの大学には優秀なユダヤ人学者が多くいました。
ところが、彼らが追い払われてどこに行ったかというとアメリカです。
アメリカはナチスドイツと戦っていますから、ユダヤ人は皆味方だと思われていた。
そういう雰囲気の中で彼らは大学に浸透し、いつしか大学がリベラル化していって、ポリティカル・コネクトネス(政治的に中立、公平で差別や偏見が含まれない言葉や表現を用いること)の動きも大学から始まるんです。
その典型がフランクフルトに本拠を置くフランクフルト学派です。
彼らは文化大革命による政権転覆を理論化したマルクス主義の亜流ですが、ナチスの迫害でアメリカに大挙して移住し、そこで学問を花開かせる。
グローバリズムも一皮むくと、そうしう思想が底流にあることを知るべきでしょう。
(引用:『致知』2017年3月号より)