マインド・フルネスの実践法
アメリカやヨーロッパで注目を集めている「マインド・フルネス」の実践法を紹介します。
マインド・フルネスとは、冷静に自己を見つめるための瞑想法です。
まずは、椅子にゆっくりと腰掛けて腰骨を立てます。
静かに目を閉じてしばらくすると、頭の中に様々な思いが湧き上がってきます。
過去に経験した嫌な出来事が浮かんでくるかもしれません。
しかし、これは妄想です。
頭が勝手におしゃべりをしているに過ぎません。
現実のいま、ここにある世界は、目を閉じて椅子に腰掛けているあなたがいるだけなのです。
頭の中のおしゃべりはそのまま放っておいて、吐く息と吸う息だけに気持ちを集中します。
吐く息に合わせてひとーつ、ふたーつ、みっつ、と数を数えます。
そして十まで数えたらまた、ひとーつ、ふたーつ、と繰り返します。
これは「数息観(すうそくかん)」といわれ、禅宗で古くから取り入れられている方法です。
これを五分ほど続けます。
呼吸に集中していて、妄想が沸いてきたときは、「ああ、これは妄想だ」と客観的に見つめて、意識を呼吸に引き戻すことが大切なポイントです。
新幹線の車窓から外の景色を眺めているときのように、妄想に囚われることなく、客観的に眺めるだけでやり過ごすのです。
妄想に囚われてしまい、「しまった。」、「何であんなことを。」などと感情移入をしないように心がけます。
そうすると、妄想はそのうちに消えていきます。
最初は、妄想に意識が囚われてしまいがちですが、毎日続けていると、次第に要領がつかめるようになります。
マインド・フルネスの実践により、邪念に囚われることなく、目の前のことに意識を集中させることができるようになります。
「心ここに在らざれば、視れども見えず、聴けども聞こえず、食らえどもその味を知らず」(出典:『大学』(儒教の経典四書の一つ))
(引用:『致知』2016年12月号より)